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ここ数年、にわかに盛り上がりをみせているレコードブーム。

無形のPCオーディオのカウンターとして、レコードを所有する喜びのあるアナログオーディオの人気は増す一方です。

そんな中、オヤイデ電気ではあるレコードアクセサリーの製品開発がスタートしていました。それが多機能EPアダプター「STB-EP」です。そこには、「STB-EP」の開発者である、オヤイデ電気のオーディオみじんここと、荒川敬がレコードに注ぐ並々ならぬ愛と情熱がありました。偏愛の果てに生まれた「STB-EP」について、オヤイデ電気秋葉原店在籍の楽器系男子でエフェクターのDCケーブルに異常な愛情を注ぐ一方、アナログレコードに関しては“超”のつくビギナー、平成生まれのスタッフの“HONDA”が、開発者の荒川氏を質問攻め。根掘り葉掘り話を聞きました。



できるだけ多くのドーナツ盤にとって、きつすぎず緩すぎずぴったり嵌るEPアダプターを私がつくる!


HONDA発売と同時に話題をさらった感のある「STB-EP」ですが、荒川さん自身はそもそもレコードコレクターで、それゆえの開発という流れなんですか?

荒川そうなんです。僕はよろずオーディオが好きな好々爺なのですが、アナログレコードも大好きで。

HONDAそうだと思いました。好きな人じゃなければ作れない一品だと思います。でも、ドーナツ盤(7inchシングルで、真ん中の穴が通常のレコードよりも大きいレコード)を意識したものをつくるというのは、正直びっくりしました。なにか理由があるんですか?

荒川ドーナツ盤は中心に38mmの大きな穴が開いているのが特徴ですが、この穴径がドーナツ盤によって微妙に異なるんですよ。ドーナツ盤を聴くときはEPアダプターをレコード盤にセットして、そこにドーナツ盤をはめ込むんですが、盤によってはがたつきが大きかったり、ある盤ではきつくて入らなかったり。そこで様々なEPアダプターを探し求めたんですが・・・

HONDAわざわざEPアダプターを探し求めたんですか?

荒川えぇ。そもそもレコードプレーヤー付属のプラスチック製EPアダプターは、真円度の精度が悪くて盤ががたついて、ドーナツ盤の中心位置が定まらない。そうするとトーンアームが左右にふらついて音も悪くなる。

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HONDAほう・・・深いですね・・・

荒川プラスチック製は軽すぎて、ドーナツ盤を外す時に一緒に外れてしまうこともあるし、そもそも高級感が全くなくてモノとして気に入らない。アルミ削り出しのEPアダプターは、今度は小さすぎてドーナツ盤がしっかり固定されないものもあれば、逆に大きすぎて嵌らないドーナツ盤もあるんです。

HONDAそこまで徹底的に調べるとは、執念深いですね。


荒川(笑)。決定打がないのなら自分でつくるしかないなと。できるだけ多くのドーナツ盤にとって、きつすぎず緩すぎずぴったり嵌るEPアダプターを僕がつくってやる!となりました、ハイ。


「STB-MSX」のEPアダプター部をそのまま切り出してできないかな


HONDAそこまでEPアダプターに執念燃やす人も珍しいと思います、いい意味で。でもオヤイデ製品ではすでにEPアダプターとして使える製品があるじゃないですか。

荒川「STB-MSX」と「STB-HWX」ですね。

HONDAそうですそうです。実際「STB-MSX」を7インチをかけるDJで使ってる方もいらっしゃいますよね。

荒川:はい。「STB-MSX」はレコードスタビライザーとしての機能がメインな商品なんですが、片面にEPアダプターになるように突出部を設けていて、ここにドーナツ盤をセットしてレコードプレーヤーにはめこむとEPアダプターとして機能するわけです。さらにですね、このEPアダプターの突出部は、ドーナツ盤と接触する側面にわずかなテーパーが付けてあって、ドーナツ盤の穴径にバラツキがあっても、側面のいずれかの位置でドーナツ盤と必ず接触するようデザインされているんです。

HONDA:それだけ完璧に考えられているのなら、それを使えばいいじゃないですか、とも思ってしまうんですけど。

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荒川:実際、「STB-MSX」をEPアダプターとして使用しているユーザーは多くいらっしゃって、ドーナツ盤を押さえつけることのできる唯一のドーナツ盤スタビライザーとして人気なのですが、ちょっと高価で、大きくて重く、EPアダプターとして使うには、ある程度慣れた人でないと扱いにくいという一面もあるんです。

HONDA:それでEPアダプターに特化したものをつくろうと。

荒川:はい。「STB-MSX」のEPアダプター部をそのまま切り出してできないかな、と考えて、すぐ試作してみました。

HONDA:そこでSTB-EPが誕生したんですね!

荒川:いやいや、まだです。その時に試作したのは、形は円筒でドーナツ盤がはまるところを「STB-MSX」と同じ形状にして、上に水準器を乗せて、胴回りをくびれさせたんです。


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