ヘッドホン等で使える6.3mmTRS-3.5mmTRSケーブルを作ってみよう
6.3mmTRSから3.5mmTRSのケーブルを作ってみましょう。
3.5mmジャックでの着脱式になっているヘッドホンのリケーブルや、その他近年では3.5mmTRS出力の小型ガジェットなども増えてきて、6.3mmフォンプラグだけではなく3.5mmのものを使う機会も多くなっているのではないでしょうか。
今回は6.3-3.5の仕様でどちらのTRSでの作成の参考にもできるような作例にしてみました。
今回使用する部材
・OYAIDE HPC-24W ヘッドホン用2芯シールドケーブル 3m
・OYAIDE P-240T 6.3mmTRSプラグ ×1
・OYAIDE P-3.5SRHP ヘッドホンリケーブル用3.5mmTRSプラグ ×1
・5~6φの収縮チューブ(作例ではスミチューブA 6φ) 4~5cm程 ×2
用意する工具

・HOZAN N-838 ヘビースニップ (もしくは同等に金属用にも使えるはさみ)
・ペンチ
・ニッパー(金属用)
・ピンセット
・テスター (音でチェックできる機能のものが好ましいです)
・はんだごて (高めの温度が細いこて先で使えるもの推奨)
・はんだ
・ヒートガン (収縮チューブの収縮用)
・バイス (各プラグ固定用)
作業手順
※製作にあたり個人の責任で行ってください。

プラグのハウジングを外し、各プラグのハウジングを外し、ケーブルに通します。
ハウジングを通した後、収縮チューブも通しておきます。
今回使用するケーブルは印字もなく、切り売り段階でも向きは全く判別されていないため、ケーブルの方向性やプラグの付ける側は特に気にしません。
加工前にケーブルに通すべきものを通し終えたら、6.3mmTRSプラグ、P-240Tの方から加工していきます。
ケーブルの先端をTip側のはんだ付け部分の穴の少し先に合わせ、そこからクランプまでの12mm程を剥きます。
シールドを切ってしまわないよう慎重に刃をあてて剥き、その後シールドは一か所に束ねておきます。

HPC-24Wではシールドの内側の介在として綿糸が使われているため、青と白の芯線を切らないようにしながら根元から切って取り除きます。
芯線を先端から5mm程剥きます。
その名称のとおり芯線はAWG24と細いものになっているため、力加減を誤ると芯線ごと切ってしまいかねないので注意しましょう。
ここ6.3mmTRS側はこの時点で剥いてある根元の部分から収縮チューブをかけてしまいます。
6.3mmプラグ側にチューブをかける意味としては、ハウジングから出る部分の補強と、クランプで絞める部分がHPC-24Wではやや細すぎるので少し太くしておくためです。

ここまで加工出来たらP-240Tのクランプ部分をペンチなどで開き、ケーブルをあてがっていきます。
まず、束ねたシールドを赤い絶縁シートの下にあるプラグのグラウンド部分の穴に通します。
絶縁体でつっかかるまできちんと奥まで差し込んだら、そこで折り返し中央の写真のような状態にします。
その後このままでははんだ付けするには長いため、穴から出ている部分の半分ほどに切っておきます。

次に各芯線を付ける電極の穴に通していきます。
P-240Tの場合、中央から出ている二つの電極のうち、短い方がプラグのTip(プラグ先端のダイヤ形のような玉ねぎ形のような部分)、長い方がRing(プラグ先端から見てTipの手前の絶縁体に挟まれた部分)に導通する部分となります。
今回はTip側の色を青、Ring側の色を白と決めて結線していきます。
※筆者がTRSバランスケーブル等と同感覚でこの配色で製作してしまいましたが、
ヘッドホン用で作るならLch(Tip)を白、Rch(Ring)を青とする方が感覚的に自然だったかもしれません。
いずれの場合でも両端で色と極性を合わせていれば問題ありません。
そしてそれぞれの電極の穴に芯線の剥いた部分を通し、通した先を折り返して固定します。
6.3mmTRS側の準備はここまでです。


次に3.5mmTRS、P-3.5SRHP側を加工していきます。
このP-3.5SRHPは、通常のP-3.5SRよりプラグ差し込み部分手前のところが長く作られており、着脱式ヘッドホンなどの奥まったところにある3.5mmジャックにも差し込めるような設計になっています。
それ以外の部分はほかのP-3.5シリーズもほぼ同じなので、3.5mmプラグの作業時の参考にしていただければと思います。
こちらはケーブルをプラグにあてがったとき、はんだ付け部分の根元からクランプまでの長さより少し長めの13mm程を剥きます。
何故長めに剥くかというと、右写真のようにRingにはんだ付けする側は手前のTipのはんだ付け部分および黒い絶縁体を避けながらはんだ付けすることになるため、その余裕を確保するためです。

そこからシールドを束ね、介在を切り、芯線を3mm程剥く流れは先ほどP-240T側で行った処理とほぼ同じです。
こちら側の場合は線を剥き終えたら、芯線のみ予備はんだを行います。
束ねたシールドも予備はんだを行っても良いのですが、今回の場合少しでもはんだで太くなってしまうと後述のプラグの穴に通しづらいためそのままにしておきます。

P-3.5SRHPにも予備はんだをしておきます。この時、写真のように購入時付属しているプラグカバーを付けると挟みこみやすくなります。
はんだ付け部分が棒状になっていることもあり非常にはんだを盛りづらいのですが、はんだごてを長く当てすぎてしまうと絶縁体がすぐに溶けだすので、失敗したと思ったら一旦放してから冷めるのを待ち、焦らずもう一度はんだごてをあてるようにしましょう。

それぞれの予備はんだが終わったら、P-3.5SRHPのクランプを開き、グラウンド部分の穴にP-240Tの時と同じように束ねたシールド線を通します。
そして今度はプラグの先端方向に折り返して大体半分くらいのところで余分な長さをカットします。

芯線側ははんだ付け前に左写真のようにあらかじめ曲げておいてあげると、後々のはんだ付けがしやすくなります。
これで両端共に前準備は完了です。はんだ付けに移っていきましょう。

まずP-240T側から行います。
こちらはシンプルで、利き手にはんだごて、逆の手ではんだを持って作業します。
各線共に穴に引っ掛けている場所へはんだを流し込み、線に染み込ませ、同時に電極となだらかな形状になるようにはんだを溶かしていくだけです。

穴に引っ掛けているため後々の故障も少ない結線方法ではあるためはんだ付けの質もそこまでシビアではありませんが、無駄なはんだの盛りすぎは電気的にはあまり良くないため、最低限のはんだの量でなだらかな形状になるよう心がけましょう。
P-3.5SRHP側のはんだ付けに移ります。
こちらはまずシールドからはんだ付けしていきましょう。ここでも利き手にはんだごて、逆の手ではんだを持ちます。そして空いた指でケーブルを軽く持ち上げながら行うと安定します。はんだを流し込む要領は先程のP-240T側の時と同じです。

次に芯線側を行っていきます。利き手にはんだごて、逆の手でピンセットを持ち、各芯線をピンセットではんだ付け位置にあてがいながらはんだ付けします。
この時非常に狭いところにはんだ付けしているため、はんだごてを離したときにちょっとでもずれてしまうとはんだが冷え固まる前に電極から離れてしまって付けられていない、といったことも起きがちのため、ピンセットで抑える方は慎重に操作し、冷え固まるまでキープします。
また、はんだを少しでも長く当てすぎたり、はんだごての先自体が当たってしまうと右写真のように黒い絶縁体部分がゆがんでしまいます。ただし、多少は歪んでしまってもTip部分とRing部分がつながってしまっていなければ概ね問題ないため、最初のうちはある程度許容しつつ電極にしっかりとはんだ付けしましょう。

先程はんだ付けしたシールド線ですが、はんだ付けしただけの状態だと、左写真のように出っ張ってしまっていてこのままではハウジングを閉じることができません。
しっかり染み込ませてはんだ付けできていればニッパーなどで削ることができるので、ハウジングに収まるような形状に削って整えておきましょう。

両端のはんだ付けが完了したので、クランプを絞めていきます。
まずP-240T側はクランプの大きさに対して線が細いので、3つ折りのような形でペンチなどで絞め、ハウジングを閉じます。
この時Tip、Ringの電極や盛り上がったはんだがハウジングの内壁と接触していないことを確認し、接触しそうであれば内側に曲げるなどして対応します。

P-3.5SRHP側はクランプを絞めた後、先に通しておいた収縮チューブをはんだ付けした部分まで覆うように被せ、ヒートガンなどで収縮します。

はんだ付けした部分からクランプを超えてケーブルの部分まで収縮し終えたら、ハウジングを閉じます。
これで一通りの加工は完了しましたが、最後にはしっかりとテスターで導通を確認しましょう。
プラグのチップ(Tip=絶縁体の線があるより先端のダイヤ形の部分)どうし、リング(Ring=2本の絶縁体の線の間の部分)どうし、スリーブ(Sleeve=絶縁体の線があるより奥側の筒状の部分)どうしが導通していること、またチップ・リング・スリーブそれぞれ異なる部分の間は導通していないこともきちんと確認しましょう。

テスターによるチェックでも問題が無ければ完成です。
