4芯シールドでTRS-XLRの2本ペアのバランスケーブルを作ってみよう

近年宅録やDTMがひと昔前と比べて増えてきたのもあり、様々なレコーディング用機器をプロのスタジオだけでなく、一般的の方々でも揃えることが多くなってきたのではないでしょうか。
その中で、特によく使われるのがおそらく6.3mmのTS/TRSプラグと、XLRコネクター。
機器と機器を繋ぎたい、となっても機器それぞれで出力と入力の形状が異なることもしばしば、その都度そこのためのケーブルを検討することになるかと思います。
それ、逐一探すより作れてしまった方が楽になりますよ?
今回は、その中でもオーディオインターフェイスからアクティブモニタースピーカー間などでよく使われるTRS-XLR(M)の2本ペアを作ってみましょう。

 

今回使用する部材

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・mogami 2534 4芯シールドケーブル 1m ×2
・Neutrik NP3X 6.3mmTRSプラグ ×2 
・Neutrik NC3MXX XLRコネクター(オス) ×2
・8~12φ程度の色付き収縮チューブ(作例ではPANDUIT製12φ) 10cm程 ×2色

 

用意する工具

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・HOZAN N-838 ヘビースニップ (もしくは同等に金属用にも使えるはさみ)
・ペンチ
・ニッパー(金属用)
・ピンセット
・テスター (音でチェックできる機能のものが好ましいです)
・はんだごて (高めの温度が細いこて先で使えるもの推奨)
・はんだ
・ヒートガン (収縮チューブの収縮用)
・バイス (各プラグ固定用)

 

 

作業手順

※製作にあたり個人の責任で行ってください。

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まず、Neutrik社製プラグのパーツを確認します。これらは購入時は袋にバラバラの状態で入っているため、作業中になくさないようにしましょう。

そして、その中でTRS、XLRともに柔らかい樹脂製のブッシュがあるので、それらを作業前のケーブルに通していきます。

 

 

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今回の場合、接続方向としてはTRS出力→XLR入力の順で作りたいため、ケーブルの印字方向に対して、ケーブルの印字の頭側(mogamiの文字があった場合の"m"側)にTRS用のブッシュ、印字の末尾側(mogamiの文字があった場合の"i"側)にXLR用のブッシュが来るようにします。

そして説明の順番が前後してしまいましたが、色分け用の収縮チューブはブッシュよりも内側に来なければならないため、各端用5cm程の適当な長さに切ったら収縮チューブを先に通し、そのあと各ブッシュを通します。
最終的に通しておく順番としては、印字の頭側からTRS用ブッシュ→収縮チューブ→収縮チューブ→XLR用のブッシュのような形となります。

 

 

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各ケーブルに通すべきものを通し終えたら、ケーブルを剥いていきます。まずTRS側から作業していきます。
一番外側の被覆を15~20mm程剥き、横巻になっているシールドを一か所に束ねます。

 

 

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シールドの中をばらすとこのように青2本と透明2本の芯線と、透明な介在が出てきますので、介在はばらした根元で切り取っておきます。また、この後今回は4本の芯線のうち、青芯線2本をバランス伝送におけるHOT、透明芯線2本をバランス伝送におけるCOLDとして使用します。

※バランス伝送とは、マイクやラインでのXLRコネクターでのオーディオ信号伝送や、TRS1本でステレオではなくモノラル伝送
 する際の伝送方式で、HOTと呼ばれる極で元々の信号波形、COLDと呼ばれる極で+-をHOTとは反転させた信号波形を出力し、
 入力される側でCOLDを再び反転させてHOTへ合成させることで、ケーブル内を伝送しているうちに外部から侵入したノイズを
 打ち消す仕組みになっている伝送方式です。また、この伝送方式ではもう1極GNDをとりますが、今回の場合はGNDは先程
 束ねたシールド線です。
 また、イヤホンやヘッドホンケーブルでも同じバランス伝送という言葉が使われていますが、その際にはステレオ伝送でLRの
 グラウンドを統一した1本ではなくそれぞれの2本に分離させる方式のことを指し、全くの別物になります。

このように芯線を対角で2本ずつまとめて、それぞれ逆の極性として結線し、ケーブル自身から発生するの電磁ノイズをキャンセルできるような結線をスターカッド結線と呼びます。

 

 

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芯線を色ごとに束ねていくのですが、この際にきちんと付ける位置と合うように並び順を揃えておきます。
今回のNeutrikプラグを使用したTRS側では写真のようにプラグと合わせた際に、一番下がGNDのシールド束、真ん中がTipの電極に付けるHOTの青芯線束、一番上がRingの電極に付けるCOLDの透明芯線束の順になるようにします。

そして各芯線を先から5mm程剥き、色ごとに露出した銅線を束ねます。

 

 

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XLRコネクター側も剥く長さや手順はほぼ同じです。
ただし、こちら側は束ねる順番が変わります。XLRコネクターでのピン配列は写真左のようになっており、それに合わせた順番だと写真中央のように一番奥がGNDのシールド線束、真ん中がCOLDの透明芯線束、手前がHOTの青芯線束になります。

そして今回は左右ペアでの作成なので、2本分ここまでを繰り返します。

 

 

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各ケーブルを剥き終わったら全箇所予備はんだをしていきます。

予備はんだとは、ケーブルを任意の場所にはんだ付けする前に、ケーブルにあらかじめはんだを染み込ませる、
またはコネクター側のケーブルを付ける位置にあらかじめはんだを盛っておくことを指します。
この時、なるべく元々の線束より太くならないよう最低限のはんだの量を染み込ませます。

 

 

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次にTRSプラグの予備はんだをしていきます。
写真左がこれからはんだ付けする際のイメージです。束ねたシールド線は図の中の緑色部分のようにプラグのGNDのはんだ付け部分の端に付ける形になるため、自分から見て奥側の角のあたりにはんだを少量盛ります。ここであまり盛りすぎると実際のはんだ付け時に溶けにくくなり失敗のもとになります。

 

 

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HOTのTip、COLDのRingの電極それぞれにもはんだを盛ります。
ちなみに見えづらいですが盛る目安としては写真右の量で適量もしくは若干盛りすぎくらいです。

 

 

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XLR側も予備はんだをします。こちらは単に各電極に盛るだけなのでシンプルです。
これらを各プラグ、コネクター全て行ったら下準備は完了です。はんだ付けに移ります。

 

 

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まずTRS側からはんだ付けをします。
利き手にはんだごて、逆の手でケーブルを持ち、シールド線=GND部分からはんだ付けをします。
この時、しっかり温度を上げていても温度がやや伝わりづらいため、左写真のようにシールド線とGND電極ではんだごてを挟むようにして両方溶かし、溶けたら素早くはんだごての先を引き抜いてシールド線の上から押し付けるようにすると、長時間当てすぎて失敗するようなミスを防げます。

また、このシールド線を付ける部分はNeurikプラグでは非常に狭いのでTip部分の電極と誤ってくっついてしまわぬよう気を付けましょう。慣れていないうちはシールド線を少し短く切って付けるようにしてもいいかもしれません。
 

 

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シールド線を付けたら、利き手にはんだごて、逆の手でピンセットを持ち、各芯線の束を挟んであてがいながら青芯線HOT=Tip、透明芯線COLD=Ringの順ではんだ付けします。

 

 

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今度はXLR側のはんだ付けです。
こちらはまず、利き手にはんだごて、逆の手でケーブルを持った状態で一番奥の極から(写真は右利きの場合、この時はシールド線から)はんだ付けします。そして1箇所付けてしまえばケーブルが固定されるので、利き手とは逆の手でピンセットを持ち、各線を挟んであてがいながら真ん中、手前の順で各所も付けていきます。

 

 

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そして今回はLRペアでの作例なので、これらのはんだ付けを2本分行います。

 

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それぞれはんだ付けができたら、各プラグを閉じていきます。
まず、TRS側は付属している樹脂クランプの、前端の切れ込みが入っている部分を折る、もしくはニッパーなどで切って取ります。これはNeutrikプラグが使うケーブルの太さによって調節できるようにしている元々の仕様です。

そして樹脂クランプのスリットからケーブルを押し込み、右写真のように先程はんだ付けした部分と丁度形が合うような位置に持っていきます。

 

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そこに金属ハウジングを通し、しっかり奥まで差し込めたらあらかじめ通しておいたブッシュをねじ込んで締めます。
この際結構締めこむのに抵抗がありますが、これは内部の樹脂パーツが締め込みによってクランプ部分が閉じ、ケーブルをしっかり固定する構造になっているからです。今回使っている2534であれば適用範囲内のため、隙間がなくなるまでしっかりと締めましょう。

 

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XLR側も樹脂クランプを付けハウジングを閉じていきます。
樹脂クランプははんだ付けしたパーツの樹脂部分に凹みがあるため、そこに形状を合わせるようにします。そして、金属ハウジングへ納める際も樹脂部分側に2箇所の突起、金属ハウジング側に対応した凹みがあるので正しく差し込みます。合っていれば中のピンは写真右くらいの位置になります。

 

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XLR側も通しておいたブッシュを締めます。こちら側はTRS程抵抗なく締められます。

そしてもう1本分も同じようにハウジングを閉じます。

 


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各プラグ、コネクターともに閉じ終えたら根元に色分け用の収縮チューブをかけていきます。

 

 

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これで一通りの加工は完了しましたが、最後にはしっかりとテスターで導通を確認しましょう。
今回確認する導通は写真右のように、TRSのTipとXLRの2番ピン、Ringと3番ピン、Sleeveと1番ピンです。また、それ以外の組み合わせでは絶縁されていて導通していないことも確かめておきましょう。

 

 

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テスターによるチェックでも問題が無ければ完成です。

 

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