miniXLRを使用してハイグレードなヘッドホンケーブルを作ってみよう
ケーブル着脱式のヘッドホンの端子形状はたくさんありますが、その中でも共通して多い仕様の一つが3pinのminiXLRコネクターを使用したもの。
AKGのK702やPioneerのHDJ-2000Mk2、beyerdynamicのDT900PRO Xなどは共通のピンアサインで採用されており、これらを複数お持ちの場合は1本作ってしまえば共通で使えます。
(3pin miniXLR採用のモデルでもピンアサインが異なるものもあります、お持ちのモデルの仕様を確認しましょう)
今回はそんなminiXLRのヘッドホン用ケーブルを、オヤイデの最高級ヘッドホン用線材HPC-26QUADを使い、4芯シールドケーブルでの加工例としても作ってみました。
今回使用する部材
・OYAIDE HPC-26QUAD ヘッドホン用2芯シールドケーブル 2m
・OYAIDE P-3.5SRL 3.5mmL字型TRSプラグ ×1
・ノーブランド miniXLRメス型コネクター ×1
用意する工具
・HOZAN N-838 ヘビースニップ (もしくは同等に金属用にも使えるはさみ)
・ペンチ
・ニッパー(金属用)
・ピンセット
・テスター (音でチェックできる機能のものが好ましいです)
・はんだごて (高めの温度が細いこて先で使えるもの推奨)
・はんだ
・バイス (各プラグ固定用)
作業手順
※製作にあたり個人の責任で行ってください。

各コネクターのハウジング類を外し、ケーブルへ通します。この時P-3.5SRL側は単純にハウジング1つ通すだけですが、miniXLR側は写真左のように5つのパーツに分かれているうちの3つを通しておく必要があります。それぞれ3つのパーツの順番と向きを写真中央を参考に間違えないようにしましょう。
また今回使用するケーブルは印字もなく、切り売り段階でも向きは全く判別されていないため、ケーブルの方向性やプラグの付ける側は特に気にしません。

まずP-3.5SRL側から加工していきましょう。
P-3.5SRLを横から見たときの上側の短いTipの電極の中程からクランプまでの10mm程を剥きます。
この時、HPC-26QUADは外側の被覆がやや厚く剥きづらいため、写真右→中央のように一度外周に切り込みを入れてからヘビースニップの先を差し込み縦に切っていくと剥きやすいです。ただし、被覆とシールドの間に刃を入れる際にシールドをなるべく傷つけないように心がけましょう。

そして非常に細かく編まれたシールドを針状のものを使って丁寧にほどいていきます。おそらく今回の作例の中で一番時間のかかる工程なので、焦らず根気よく網目を解いていきましょう。
力ずくや適当にほどくと線が何本も千切れてしまったり、その後右写真のように束ねるのですが、その際にぐにゃぐにゃになってしまった線で膨れてしまったりします。
音楽や動画コンテンツ、ラジオなどをお供に落ち着いてほどいていきましょう。
シールド線をほどいて退けた中からは、芯線の外側を包んでいる紙の絶縁体と、介在の絹糸、4色の芯線が出てきます。
芯線を広げて退けつつ、それ以外の絶縁体と介在を根元で切り落とします。
ここで、4芯のシールドを合計3極やそれ以下の極数のケーブル自作に使う際なのですが、左写真のように対角にある線どうしを同じ極として束ねて使用することがほとんどです。今回の場合はシールドをグラウンドとし、黒緑をLch、赤白をRchとして結線していきます。

各芯線に慎重にヘビースニップの刃先をあてつつ先端から5mmほどを剥きます。剥いたら上述のように緑黒、赤白でそれぞれ剥かれた部分を束ねておきます。
これでP-3.5SRL側は加工を終えたので予備はんだをします。今回は2本ずつ束ねた芯線の先のみ予備はんだで固め、シールド線はそのままにしておきます。


次に付けるP-3.5SRLにも予備はんだをしておきます。こちらもはんだをあらかじめ盛るのは中央から出ている2本の板状の電極、Tip部分とRing部分だけに盛ります。

P‐3.5SRLにケーブルをあてがいます。
まず、束ねたシールド線をプラグのGND部分の穴に通します。今回はここから折り返したりしない方法で加工します。また先ほど予備はんだをせずにおいたのですが、予備はんだをしてしまうとこの穴に通らない太さになってしまう可能性が高いためあえて予備はんだをせずに通しました。
そしてシールド線を通したら2本ずつの芯線を各電極に当たるように曲げておきます。中心から2本電極が出ているうちの上側の短い方が黒緑を付けるTip側の電極、下側の長い方が赤白を付けるRing側の電極になります。
ここまででP-3.5SRL側の加工は完了です。

今度はminiXLR側の加工をしていきます。
こちらの実際に剥きたい長さは左図のように樹脂パーツの分割面からクランプ手前までの10mmほどです。しかし、これらのパーツはあらかじめ通していて計りづらいので、右図のようにこの後はんだ付けするminiXLRの先端パーツの全長を参考に合わせるとほぼ同じ長さです。
そしてP-3.5SRL側と同じくシールドを丁寧にほぐして束ね、介在や絶縁体を切り落とします。


ここから芯線を剥いて束ねるのですが、XLRおよびminiXLRの場合は束ねる配置に注意しましょう。
はんだ付けするminiXLRのパーツは左写真のようなピン番号配置になっており、この向きにバイスに挟んだ時左からシールド(GND)→芯線赤白(Rch)→芯線緑黒(Lch)の順の位置になるように束ねます。
※注:このピンアサインの機種が世の中には多いですが、違うピンアサインとなっている機種も存在します。
お持ちのヘッドホンのピンアサインをよくご確認の上自作してください。

こちら側も予備はんだをします。miniXLRにはんだ付けする場合はシールドと芯線両方予備はんだをしておきましょう。

このままだとシールド線ははんだ付けする際に長すぎるので、芯線2束と同じ長さ程度に切ってしまいます。
miniXLRコネクターにも予備はんだをしておきます。はんだ付け部分が非常に小さいのではんだを盛りすぎないように気を付けましょう。
これではんだ付け前の準備は両端共に完了です。

はんだ付けに移っていきます。まずP-3.5SRL側からです。
L字プラグはミニバイスでは固定しづらいのですが、最初シールド線からはんだ付けする場合、プラグに付属のカバーをかぶせ、写真のように固定するのがやりやすいのではないかと思います。
利き手にはんだごてを持ち、逆の手ではんだを持ってシールド線が通っている穴の上側をめがけてはんだを流し込んでいきます。この向きで固定するとはんだがちゃんと溶けていれば重力で線の下側にも流れていきます。勿論流し込み過ぎには注意です。

シールド線のはんだ付けを終えたら写真のように固定位置を変えます。この状態で利き手にはんだごて、逆の手でピンセットをもってはんだ付けする芯線をつまみ、それぞれ予備はんだを溶かしてはんだ付けします。順番としてはRch側赤白芯線→Lch緑黒芯線の順で下にある方から付けた方が作業しやすいです。
別のページで作例をご紹介したP-3.5のストレート型と違いこちらは絶縁体を溶かす心配あまりありませんが、それでもプラグ内に長く熱が伝わると各部分にダメージとなるのでなるべく素早く作業することを心がけましょう。
各3箇所はんだ付けが完了したら、シールド線ははんだ付け部分の根元から切り取ります。シールド線の束にしっかりとはんだが流し込めていれば写真のように切り口はきれいな状態になります。

今度はminiXLR側のはんだ付けに移ります。
まず写真右のように利き手ではんだごて、逆の手でケーブルを持ち、Rchである赤白の芯線と下部にある2番ピンをはんだ付けします。
そうするとケーブル自体の位置は固定されるため、今度は利き手にはんだごて、逆の手をピンセットに持ち替えて各はんだ付けする線をつまんで固定しながら1番ピンへシールド線、3番ピンへ緑黒の芯線をはんだ付けします。
※注:このピンアサインの機種が世の中には多いですが、違うピンアサインとなっている機種も存在します。
お持ちのヘッドホンのピンアサインをよくご確認の上自作してください。
両端共に電極同士が非常に近い距離でのはんだ付けですが、誤って隣あった電極の間にはんだが渡ったり、線がばらけて接触してしまったりしないよう気を付けましょう。

はんだ付けをそれぞれ終えたらハウジングを閉じていきます。P-3.5SRL側はクランプをペンチなどで絞め、ハウジングを被せて閉じるだけです。

miniXLR側はパーツ数も多く、きちんと組む必要があるため注意します。
まず、一番先端に通してあった樹脂パーツをはんだ付けした先端パーツの樹脂部分に合わせます。先端パーツ側に合わせるための凹、樹脂パーツ側に凸が両側2箇所にありますのでそれを合わせて差し込みます。
次に金属パーツの切れ込みが入っている部分も先ほど差しこんだ樹脂パーツのケーブル側にある凸部分に合わせて差し込みます。
これらのパーツはしっかりなるべく隙間がないよう差し込みましょう。

奥までしっかり差し込んだら、金属パーツのクランプ4箇所を絞めます。

前述までのパーツを組み合わせた段階で、樹脂パーツとコネクター先端部分で平らな面ができているので、その面を先端側のハウジングについているボタン部分と向きを合わせ、差し込みます。向きがきちんとあっていれば、先端の面が写真中央のように揃います。
きちんと差し込めたら、あとは通しておいた後ろ側のハウジングを閉じれば完了です。

これで一通りの加工は完了しましたが、最後にはしっかりとテスターで導通を確認しましょう。
写真右を参考に、それぞれの極で導通しているか、またはほかの極と誤って導通していないことも併せて確認します。
その際、miniXLRのメス型の穴にはほぼテスターのピンは入らないため、左写真のようにクリップや針金などを差し込んで導通を確認するとよいでしょう。
※注:このピンアサインの機種が世の中には多いですが、違うピンアサインとなっている機種も存在します。
お持ちのヘッドホンのピンアサインをよくご確認の上自作してください。

テスターによるチェックでも問題が無ければ完成です。
