最高の素材を生かす為には、最高レベルの技術と理論が必要です。それらは概念的な理論ではなく、あくまでも事実とデータに基づいた物でなくてはいけません。先日発売した純銀同軸「FTVS-408」は、金属中最も導体抵抗の低い物で製作したらどうなるか?という単純な発想の元で製作しました。もちろん試験的に製作したとはいえ、通常の同軸ケーブルよりもはるかに高い性能を持っています。そして、映像だけでなく音声としても高いパフォーマンスを発揮し、多くのお客様にご愛用いただいております。しかし、オヤイデ電気の目指していたことはここではありません。
「FTVS-408」正式発売後も多角的な方面より再検証を行い、いかに「純銀」というレアメタルを活用してケーブルを作るかに心血を注ぎました。そして今回発売する「FTVS-510」がひとつの答えがです。
設計趣旨はアンテナケーブル(BS、CS、BSデジタル、ハイビジョン)としての性能だけでなく、音声、デジタル(75Ω)信号ケーブルでご利用いただいた場合でも、満足のいくクオリティを提供します。さらに、HD信号においては100m以上の伝送を保障します。
中心導体には世界初といっても良い、5N(99.9995%)純銀を使用いたしました。銀は金属の中で最も導電率(銀 61e6 銅 58e6 σ[S/m])の高い理想の導体ですが、価格面からあまり使われることはありませんでした。繋ぐだけの為ではなく、映像をいかに劣化させずに伝えるか、その答えが「純銀」でした。
そして今回、高度な生産管理の下高周波電気炉による連続鋳造、19工程にも及ぶ冷間圧延、2度に渡る焼鈍作業、ダイヤダイスに よる引き抜き加工、スキンパス処理などを行い、銀の純度が高いだけでなく、結晶粒界に隙間のない高品質な「銀線」を使用しました。
性能及び音質を重視しPFA(フッ素樹脂)とFPE(発泡ポリエチレン)の複合絶縁層としました。PFAは最も誘電率の低い絶縁体ですが、特徴はそれだけではありません。また、すべてで絶縁した方が誘電率は若干低くなりますが、あえて複合絶縁層としました。これは柔軟性の問題もありますが、何より異種マテリアルを使用することにより、振動の分散を図るのが目的です。
今回設計するに当たって、一番問題としたのが静電気の除電でした。PFAは電気特性が良く素材なのですがひとつ問題があります。それは静電気を帯電するということです。ケーブル内に信号が流れると微弱振動が発生し、静電気を帯電している物質はその振動によりコロナ放電をします。そこで、絶縁層の外周または内周に半導体層を設けることにより、導体に影響を及ぼす事無く、静電気の放出を行います。
通常シールドを複合にする場合、銅編組+アルミ箔というのが一般的ですが、これはそれぞれの金属が持つ周波数帯域特性から複合にします。こうすることにより広い帯域でノイズを反射させるのが目的です。
「FTVS-408」は低周波ノイズに対して強化を図る為、銅テープ+錫メッキ銅編組を組み合わせましたが、「FTVS-510」は更に高周波ノイズに対しても強化を図り、周波数特性の高い銀メッキ銅編組(95%)を使用しました。
屋外でも使用出来るよう外装には紫外線(UV)カットのポリウレタンを使用しました。これにより屋外で長期に渡り御使用になられても、従来の製品よりも外装の劣化や、ひび割れの心配がありません。
品名 | FTVS-510 |
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導体 | 1.05mm 5N(99.9995%)純銀 スキンパス加工 |
絶縁体 | PFAスキン層+発泡ポリエチレン(FPE) |
シールド | 銅箔+銀メッキ銅(編組率95%以上) |
外装 | UVカットポリウレタン |
インピーダンス | 75 Ω |
静電容量 | 56.5 nF/Km |
波長短縮率 | 74.5% |
減衰量 | 23.1 dB/Km |
導体抵抗 | 21 Ω/Km |
外径 | 8.0mm |
荷姿 | 50mリール巻 |
JAN CODE | 4562112764141 |
定価 | 6,600円/m(税込) |
発売年月日 | 2005年7月20日 |